目指せ第二の姚明(ヤオミン)
チャイニーズタイペイ・松山高中
于ツインズは212㎝BIGルーキー
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 7フッター(7Feet およそ212センチ)の双子がチャイニーズタイペイの名門高である松山高中に入学する。
 そんな噂が日本の高校バスケットボール界で広まった。
36_large チャイニーズタイペイでは9月入学のため、実際はまだ中学生なが
ら7月に行われた松山高中が主催の“松山杯”ではすでにデビューを果たした。
 日本からは福岡第一(
優勝)、明成(準優勝)が参加したこの大会、FOXテレビでLive配信されていたので映像を見た人もいるだろう。
 松山高中は、例年夏に明成の明仙ラボで行われるクローバーブッシュキャンプにも参加しており、于兄弟も初来日。東京で行われた、NBAとFIBAが開催したバスケットボール・ウィズアウト・ボーダーズ・アジア(国境なきバスケットボールキャンプ)・アジアにも参加をしている。
 今回は黄萬隆(ホワン・ワンロン)(通称ローマン)ヘッドコーチ、そして于兄弟2人にも直接話を聞くことができた。ローマン・コーチの2人にかける期待と青写真、中国出身のツインズのバックホーンな
どを聞いてみた。
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 まずは、2人のプロフィールをご紹介しよう。
 これまでずっと兄のアーカイが3㎝低かったが、最近同じくらいの身長になった。2人ともまだ身長は伸びているという。



 ローマン・コーチが2人と出合ったのは、彼らが12歳の時。2015年から中国西安の高新高校から依頼され、西安に出向いて毎年5日間ほど指導している。高新高校の監督がツインズ父の大学時代の監督だったのが縁だ。高新の監督がローマン・コーチの存在をツインズに伝えて、2016年8月の西安に双子のお父さんがローマン・コーチの指導を見学に来て、夕食をともにしたという。そして、2016年12月に双子と母が西安に会いに来て、それが初めての出会いとなった。

「その時、双子がウォーミングアップやプレイなど少し体を動かしてるところを見て、
潜在能力、伸びしろはあるなと思いました」
 とローマン・コーチは
最初の印象を語る。

 この出会いが契機となり、于兄弟の松山高中入りにつながった。彼らの特長を尋ねる
「良いところは、2人とも高身長の選手の中では頭が切れる方で、体も動く、走るのも速いこと。課題としては性格の改善。もっと積極的にガツガツとタフにならないといけない。自分たちの目標を確立しなければならない。筋肉が足りない。限られた時間の中でやるべきことをやること、全力で何事にも取り組むこと。基礎をしっかり練習させて、海外にも積極的に連れて行き、さまざまな試合、練習に参加させて経験させる必要もある。将来的には中国第二の姚明になってほしい」
 と、ローマン・
コーチは将来の明確な青写真を語った。
34_large ローマン・コーチは、今年48歳。松山高中は、公立の高校であり、体育の教員である。日本と異なり、
 定年は50歳。双子はコーチにとって松山高中
での最後の教え子となる。ローマン・コーチはある決心をした。それは今年NBAプレイヤーとなった八村塁に影響を受けたことにある。
 チャイニーズ・タイペイと日本と国の垣根を越えてお互い盟友の指導者として尊敬しあう明成・佐藤久夫コーチとの出会いは、1998年にインド・カルカッタで開催されたアジアジュニア選手権(現在はFIBAアジアU-18選手権)だ。
 と
もに代表ヘッドコーチとして参加。日本は田臥勇太(宇都宮ブレックス)、柏倉秀徳(筑波大女子ヘッドコーチ)らを中心にした布陣で参加、準決勝で姚明(ヤオミン。229㎝の元NBAプレイヤー、現在は中国バスケットボール協会会長)を擁する中国に敗退。世界ジュニア選手権の代表権をかけて戦った相手が、チャイニーズタイペイだ。この試合を制して、日本は翌年ポルトガルで開催された世界ジュニア選手権出場権を獲得した。
 お互い情熱ほとばしる熱き指導者として共通しており、お互いの国を行き来して選手ともども交流を深めている。
 明成時代に八村塁もチャイニーズタイペイに遠征をしていた一人だ。その八村の成長をつぶさに見ているローマン・コーチは大きな刺激を受けたと言う
「もちろん、定年後のコーチのオファーも来ているが、“塁”の成長に大きな感銘を受けた。同じ年にツインズが入学することになり、これは運命だ。私の松山高中最後の教え子となる彼らをNBA入りするような選手に育てたい」
 
と、明成キャンプのコーチの親睦会で強い意志を表明している。

 それでは、ツインズ2人に話を聞いてみよう。
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BB バスケットを始めたのはいつから? そのきっかけは?
アーカイ&アーシャン 小学校6年、13歳になる年でした。バスケットが大好きだったのでやってみたいなと思いました。友達でバスケットをやっている子がいて、その子の薦めで決めました

BB もうそのころは大きかったのかな。
アーカイ  小6の1月に190㎝でした。
アーシャン 後半になって192㎝、それからも少しずつ大きくなっています。

BB 松山高中に進学を決めた理由は。 
アーカイ&アーシャン ローマン・コーチに指導してほしくて松山に決めました。

BB ローマン・コーチは知り合いだったとか。
アーカイ バスケットを始めて、しばらくしてローマン・コーチと知り合いました。

BB 松山に来る前と来てからはギャップはありました?
アーシャン まだ学校が始まってないので(9月から)。今のところは変わりはありませ
ん。

BB どんな選手を目指していますか。
アーカイ フォワードをやりたいです。
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BB 普段はインサイドがメインですが、さっきの試合もスリーポイントシュートを打っ
ていましたね。
アーカイ 自分の中で思っているのは、最初はまずインサイドを練習して中ができるよ
うになったら、フォワードも勉強したい」(アーカイ)
アーシャン フォワードもセンターもこなせる選手になりたいです。

BB コーチは定年まで2人をNBAに行ける選手に育てたい、と明言しています。それに
対してどう思いますか。 
アーシャン そのことに関しては、自分も全力でバスケットに取り組んで達成できるよ
うに努力したい。もちろん、自分自身の夢もNBA選手になることですから。
アーカイ 一段一段やっていくという意味で、やるべきことをしっかりやれればそれで
いいと思っています。次のレベルに達したら、また一つひとつのことを確実にステップ
アップしていくことが大事だと思います。

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チームについて、今回の取材で通訳してくれた小野さんによるとアーカイはクール、
アーシャンのがよく笑いますね」
 コーチの思いを、于兄弟も共通認識を抱いているようだ。名将ローマン・コーチの下、今後おそらく日本のライバルプレイヤーとして台頭していくであろう于兄弟。彼らの成長を追って、引き続き注目して取材をしていきたい。

于泓凱(兄) ユー・ホンカイ。通称アーカイ
生年月日:2004.03.01
身長:212㎝ 体重:113㎏

于泓翔(弟) 通称アーシャン
生年月日 2004.03.01
身長212㎝ 体重103㎏

出身地:中国広東省珠海市
父192cm 母180cm

<通訳協力・小野真帆>
<写真・取材・文 清水広美>



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